画像はイメージです
三つ違いの姉とは、子供部屋、と称された6畳の部屋を共有している。
2段ベッドの下が姉。
上を私が使っている。
姉はかなりの頑張り屋である。

もともと170Cmと長身だったため、高校に上がった途端、バスケ部からスカウトの声が掛かった。
―しかし、姉は運動はからっきし苦手で、中学の3年間に、クラス対抗競技で補欠にさえなったことがない。
そんな姉が、誘われるままにバスケを始め、20数人いる新入部員の中で一番に補欠の座を手にいれた。


その理由を私は知っている。
姉の、とうてい真似のできない努力の結果なのだ。
ル-ルブック片手に試合のビデオを何度も繰り返し観て、バスケットボ-ルと言うスポ-ツを徹底的に理解しようとした。
休みの日などは、それこそ1日中ドリブルの練習に没頭していた。
カラダは引き締まり、時折見る姉の裸にドキドキした。
なんてカッコいいんだろう、と。

短く切った髪が、姉をより中性的にし、まわりの男子なんか目じゃない程のリリシサがあった。
当然、女子のファンができ、ライバル同志のはずの部員の中にも、恋心を抱く女子が増えていったのは自然の成り行きなんだろう。

その姉が、2年の春の大会で、試合中に骨折をしてしまった。
汗で濡れた床に足を滑らせて、受身に着いた右手が、手首の少し上でポッキリといってしまったのだ。
全治4ヶ月。
試合が出来るようになるまでには、まだ数ヶ月はかかるんだろう。

お風呂は二人で入った。
右手が不自由な姉のカラダを、私が代わりに洗ってあげるためだ。
姉妹とはいえ、最初は恥ずかしかったけれど、すぐに慣れてきた。

――が、姉の引き締まった肉体に、同性ながらドキドキしてしまうのには、慣れることができなかった。
バスケットボ-ルを2個隠している、って冗談を言われるバストは、ブラを外しても形は崩れなくて、小さめの乳首がツンと上を向いている。

ふざけて触った時の柔らかい感触を、私は忘れられないでいる。
マシュマロの様な、って言うのは、姉の胸のことを言うんだろう。
もう少し痩せたいって言う下半身は、姉の贅沢な悩みのひとつだ。
ジ-ンズがあんなにも似合うんだから。

姉は、陰毛、の存在が、どうしても恥ずかしくてしかたないんだと言う。
だから姉は、3日に一度剃っている。
今は私の仕事になってしまった。

妹にそんなことをさせるのは、とっても恥ずかしいことなんだけど、あんなところに毛が生えている恥ずかしさに比べたらなんでもないんだ、と言う。
私はやっと生えてきて喜んでいたのに。
ちょっとフクザツな心境。

陰毛がない、ということは、性器が丸見えになる、ということだ。
お風呂のような場所であれば、姉の性器を目の当たりにしてしまう時がある。
顔が真っ赤になるくらい恥ずかしくなってくる。

姉の性器は、保健の時間に習ったみたく、大陰唇がせりだし、もう大人の人の形をしている。
私はまだ、ただの筋にしか見えないけど、高校生になれば姉のようになるんだろうか。
なんだかグロテスクで、お母さんにだって恥ずかしくて見られたくない、と思う。
やっぱり私は、陰毛はそらない。
陰毛が沢山生えて、あんな恥ずかしいモノを覆い隠してもらいたい。

姉は時々、その性器を指で触っている。
それが、オナニ-、と呼ばれている行為だと最近知った。
オナニ-は男子のすることだと思っていたから、姉は異常なんじゃないかと思っていた。

だけど、友達が学校に持ってきたレディコミと言われるHな漫画本を読ませてもらったら、女の人がオナニ-しているところが書いてあって、大人になれば女の人もオナニ-をするんだ、と思った。
やっぱりお姉ちゃんは大人なんだ。
私も大人になったら、オナニ-をするようになるんだろうか。

お姉ちゃんはキスをしたことある?

・・・と、聞いてみた。
お姉ちゃんは照れながら、あるよ、って答えてくれた。
いつ?って聞いたら、中2の時、って言ったので、私はドキドキした。
私も中2なのに。
お姉ちゃんは私よりずっとずっと大人なんだ。
・・・キス。
キスってどんな感じなんだろう。
そう考えたら、なんだかカラダが熱くなってきて、オシッコするところがなんだかとってもムズムズしてきた。

高校2年になる姉と一緒にお風呂に入った時、姉が私と同じ中2の時にキスを経験していたことを聞く。
キスの経験のないえりか。
密かに甘い想像を繰り広げていく・・・。

―‐―‐―‐―‐―その夜は、ベッドに入ってもなかなか眠れませんでした。
キス。
そのことで頭がいっぱいになっていたからだ。

お姉ちゃんが私と同じ中学の2年でキスを経験している。
相手は1年先輩の部活の先輩だったらしい。
姉は中学時代新聞部に入っていた。
ウラサワ、という名前を聞いて、かなり動揺してしまった。
浦澤一樹。
クラスは違うけれど、密かに憧れている男子だ。
堂本光一似の爽やかな感じのタイプで。
ただ、無口で優柔不断な感じが、女子たちの人気を二分しているところだ。
私は、あの涼しげな眼差しと、圧倒的な清潔感がたまらなく好きなのだ。
だぶだぶの服をル-ズに着崩している格好は、私にはたまらなく汚らしいものに映る。
――浦澤君は違う。
白の似合う爽やかで清潔な格好をしている。

ウラサワ。
・・・偶然なのかもしれないけど、姉のファ-ストキスの相手が、私の大好きな男子と同じ名前だなんて。

浦澤くんのことを考えた。
声に出して名前を呼んでみた。
顔が赤くなっているのが自分でもわかる。

――キス。
浦澤くんとキス。
想像したら胸がドキドキしてカラダが熱くなってきた。
――浦澤くん。
布団を抱き締めると、お腹のあたりが疼いた。
――浦澤くんの唇。
布団を挟んだ又に力が入る。

レディコミで読んだシ-ンがそれに重なる。
浦澤くんが私のブラウスのボタンを外す。
ブラも取られて胸が裸になる。
浦澤くんの指が触れ、手のひらで揉まれる。
――いつの間にか、パジャマの胸がはだけ、自分の右手で揉んでいた。
固くなった乳首。
指が触れると体中ゾクゾクした。
・・・気持ちいい。

浦澤くんの唇が、固くなった乳首を吸う。

布団を抱き締め、浦澤くんの名前を何度も呼んだ。

浦澤くんの手がおしりにまわる。
下着を脱がされ、アソコを触られる。

――いつの間にかハダカになり、自分でアソコを触っていた。
ヌルヌルした感触が指にある。
身体が火照り、息が荒くなっていく。

浦澤く~ん。
アソコからくちゅくちゅ音がする。
指の動きが早くなる。
頭が白くなっていく。
カラダが痺れ、足がツリそうになる。

――全身に電気が走った。
カラダが勝手にピクピク動く。

――今まで味わったことない快感。
これがオナニ-なんだと気が付いた。
なんて気持ちがいいの。

お姉ちゃんにバレただろうか。
そっと下を覗くと、姉はグッスリと眠っていた。

私は、大好きな男子の事を考えているうちに、中学二年生で初めてオナニーを経験した。
とても気持ち良かった。
私は、すこしだけ大人に近づいた自分が恥ずかしかった。

朝、ママやお姉ちゃんと顔を合わせたくなかった。
初潮を迎えた時には、何だか誇らしげに大声で報告をした記憶があるのだけれど、さすがに、初オナニーを報告する訳にはいかない。
自分ひとりのHな秘密を作ってしまったことに、少し後ろめたい気持ちがあるから、二人とは顔を合わせたくなかった。

それでも朝食は、パパとママ、姉と私の4人でテーブルを囲まなきゃいけない。
テレビが私のいる方にあるので、自然とみんなの視線が私の方に向いてくる。
わたしは顔を上げることもできずに、俯いたまま黙々と朝ご飯を食べた。
一刻も早く、家を出たい、と思った。
歯磨きもそこそこに家を飛び出し、ちょうどやってきたバスに飛び乗った。

JRの人身事故のせいで、バスは異常に混み合っている。
手を振ってまでしてバスを待たせたんだ、乗らない訳にはいかなかった。
バスが次のJRの駅に着いた時、かなりの人が降りていったけれど、それ以上に乗り込んできた人の方が多くて、わたしは、押されるままに降車扉のところまで移動してしまった。
一段下がった降車扉のステップ付近もぎゅうぎゅう詰めで身動きが取れなかった。
わたしは憂鬱になった。
学校のあるバス停までには、いくつかの停留所はあるけれど、乗り込んでくる人だけで、降りる人なんかまずいないはずだからだ。

――20分、こんな状態を我慢しなくちゃいけないんだ。
ついてないな、と諦めるしかなかった。

バスが走り出してしばらくすると、不意に、お尻の辺りに変な感触があった。
密着した状態。
バスの振動とは違う動き。

――やだ、もしかしてチカン?
チカンに会うのは初めてだった。
先日の友達のゆっこの話を思い出した。
チカンに触られた!と、激怒しながら話してくれた。
大声を出せばいいとか、腕を掴んじゃえばいいとか、わたしは言った記憶がある。
怖くってそんなことできないわよぉ、と、ゆっこは言い返してきた。
そんなことないわよ、と、わたしは言い、絶対捕まえてやるんだ、と、言い放った記憶もある。

――冗談じゃない。
とてもそんなことできないわよ。
わたしは緊張して体を固くした。
ものすごく怖くてしかたがない。
声の出し方を忘れてしまったように、息は声帯を素通りしていく。
カバンを抱えた両手は、ドアに押しつけられて自由にならない。
心臓がドキドキしてくる。
膝も震えてくる。
目を閉じて歯を食い縛った。

男の手は、大胆にもスカートの中に入ってきた!
カバンを抱いた腕に力が入った。
汗が噴き出る。
恐怖でいっぱいになった。
下着の上からお尻を撫でられ、太ももをまさぐられていく。

バスが揺れバランスを崩して広げた脚の間に誰かの脚が割り込んできて脚が閉じられない。
隙間ができて自由になったコカンを男の手が触ってくる。
下着の上から男の指が動いている。
恐怖は頂点に登っていく。
歯を食い縛り、目をぎゅっと瞑り、抱き締めたカバンに額を押しつけて堪えた。
男の指はどんどん大胆になっていく。

下着の隙間から入り込んだ指は、直接わたしの性器に触れた。
強く弄られて痛みが走る。
男の指はそれでもわたしの性器を弄り続ける。
指が入り込んでくる。
下腹部の奥で、男の指がうごめいている。

もう、限界だった。
もう、この恐怖感には堪えられなかった。
そう思った瞬間、涙が溢れ出てきた。
しゃくりあげるように泣き出したわたしの様子に、周りの人も異常を感じてくれたのだろう。
あんた何してるんだ!という声がして、わたしの性器を弄っていた男の手の感触が消えた。
運転手さんチカンだチカン!という声を聞きながら、わたしは声を出して泣いてしまった。

そのあと、女の先生と一緒に警察に行ってその時の様子を婦警さんに話した。
最初は男のおまわりさんだったけれど、先生が頼んで婦警さんに代わってもらった。
どんな風に触られたか、なんて聞かれて、男のおまわりさんには恥ずかしくて言える訳がない。

チカンをした男の人は40才のサラリーマンだそうで、部長さんらしい。
この人に間違いないですか、と見せられた男の人は、身なりも雰囲気もきっちりした人で、おまわりさんの前でポロポロ涙を流していた。
ちょっと可哀想な気がしたけれど、悪い事をしたんだから仕方ないよね、と思った。

母が警察まで迎えに来てくれて、その日は学校を休みになった。
夕方、その話を聞いた父は、防犯ブザーを2個買ってきて、姉とわたしに持たせてくれた。